ガンプラ製作や改造で欠かせないヤスリ作業。
この作業、実は一部水を使って行うことができます。これを水研ぎと言います。
たまにSNSなどで上手なモデラーさんが水をつけながらヤスリを掛けているのを目にすることはないでしょうか?筆者もプロモデラーさんが推奨しているのを本で読み、水研ぎを始めました。
結果、実体験としてメリットが色々ありましたので、今日はヤスリの水研ぎにはどんなメリットがあったか解説します。
※対象はプラモ製作のみ 金属系ではありません
ガンプラ製作での水研ぎって何?
言葉そのままですが、水研ぎとは水をつけてヤスリがけすることです。
ただ水をつけるだけですが、つけないよりもちょっとだけ面倒ですよね。
なぜそんなことをするのでしょう?
筆者が知る限り、モデラーさんは合理的な人が多いです。
意味がない作業はしません。一手間加えているなら、その一手間には何かの意味があります。
水研ぎにはどんな意味があるのかを探ります。
メリット1:削りカスが固まって排出される
ガンプラ製作時、プラスチックの削りカスの処理に困ることは多いと思います。
筆者もリビングで作るので、ちゃんときれいにしないと家族に迷惑がかかります。
水研ぎをすると、削った後の細かくなったプラパーツが水と一緒に練った状態になります。
粉状になってしまうと、色んなところに舞ってしまうので掃除が少し大変です。
練り状はウェスでふき取るのが簡単になるメリットがあります。
ヤスリの削りカス掃除で苦慮されている方にはとても刺さるメリットだと思います。
メリット2:ヤスリの目詰まり軽減
ヤスリには凹凸があります。ここに削った後のプラスチックカスが詰まってしまい、研磨力が落ちてしまう状態を目詰まりと言います。
使い捨てヤスリの場合、ヤスリのツブの脱落と目詰まりが並行し、だんだん研磨力が落ちてきます。
研磨したいパーツとヤスリの間に水があると、水の張力に引っ張られて微細なプラスチックカスが外へ排出されます。
このため、水研ぎすると目詰まりが軽減されるメリットがあります。
メリット3:大きな傷がつきづらい
経験則的に、水研ぎをした時の方がヤスリで大きすぎる傷がつきづらい傾向にあります。
大きすぎる傷は、その後の高い番手のヤスリでなかなか消せず、作業時間が延びてしまいます。少しでも意図しない大きな傷は防ぎたいところです。
番手とは?等、ヤスリのごく基本的な解説は以下をご覧ください。
なぜ水研ぎをした時の方がこの失敗が少ないのでしょうか。
金属研磨の世界には、研磨したい対象の表面に研磨ツブと液体を混ぜた状態で研磨することで、安定的な研磨を行う方法があるそうです。
ヤスリ(金ヤスリ除)は研磨する都度ツブが脱落して落ちていきますので、恐らくガンプラの水研ぎ時にも上記と似た状態が起こるのではないでしょうか。
これら3つのメリットをまとめたのが以下の図です。
ガンプラの水研ぎってどうやるの?
筆者の作業例
ガンプラパーツへの水研ぎのメリットが分かったところで、実際の作業風景です。
特に正解があるわけではないと思いますが、筆者のリビングのちゃぶ台を撮影しましたので一例としてご覧ください。
このように、観葉植物用の小型水差しに水を入れ、カッターマットにちょっぴり垂らしています。
スポイトなどでもよいでしょう。
この小さな水たまりにヤスリをつけてから削っています。
練り状の削りカスをふき取るのはウェスを使います。
キムワイプが良いでしょう。写真ではキムワイプを切らしていて、ティッシュを使った時のものです。
ただ、自分で使っておきながら書くのもイマイチですが、ティッシュはやはりよくありません。
ゴミがたくさんつきますので、できればキムワイプが望ましいです。
どのヤスリなら水研ぎできるの?
実は、プラモ用として販売されている大半の紙ヤスリはただの紙ヤスリではありません。
その名も「耐水ペーパー」と呼ばれている、防水性のある台紙にヤスリツブが塗布されています。
メーカーさんもあらかじめ水研ぎを前提で作ってくださっていたんですね。
ほとんどのプラモデル用と称されている使い捨てタイプのヤスリは水研ぎに対応しています。
ただし、念のため必ず説明書を見てから水研ぎしてくださいね!
なお、金ヤスリは錆びが怖いので水研ぎNGです。
例として、筆者が大好きな神ペーパーをご紹介します。もちろん耐水、水研ぎOKです!
まとめ
ヤスリでの水研ぎ解説、いかがだったでしょうか。
まだやったことのない方、是非試してみてください!
補足・・・脱ビギナー!中級者向け書籍のご紹介
余談となりますが、元々筆者がこの水研ぎという方法を知った本も紹介させてください。
有澤浩道さんの名著「脱ビギナー!2 HGのガンダムをもっとうまく作りたい!」です。
1もあるのですが、続き物ではないので2から読んでもOKです。筆者は特に2をおすすめしたいです。
有澤さんは、細部まで考えられた緻密な、しかし過剰なうるささがない。
そんな美しい作例を発表されているプロモデラー/原型師さんです。特に仕上がりの美しさは圧巻です。
脱ビギナーの書名の通り、改造初心者から改造中級者にステップアップするタイミングで読むレベル感です。当ブログで少し物足りないと感じられた方にはベストな書籍ではないでしょうか。
初心者の方でも、ただ作例を見るだけで楽しいですし、いつか自分もこれを試してみよう!と思えるだけでも刺激になります。
機会があればぜひ手に取ってみてください。