本日はデカールについて、ごくごく基本的な部分を解説していきます。前回のスミ入れに続く、初めて組み立て以外に手を出そうとする人向けの記事です。
デカールはスミ入れが終わった後、トップコートの前に行う作業です。
スミ入れの解説記事はこちら!
前段:デカールとは?
マーキングを表現するためのもの
飛行機や戦車などが所属国、部隊を示すために行うマーキング、またメンテナンススタッフ向けの警告表示等を表現しています。
特にガンプラでは連邦軍やジオン軍などの所属国マークが有名です。
コーションマークと呼ばれるメンテナンススタッフ向けの警告文も、本来はリアリティを出すための仕掛け。しかし現在はそれだけでなく、デザインの一種としても用いられています。
水転写デカールとドライデカール
著名なデカールに水転写デカールとドライデカールと呼ばれるものがあります。
本記事では水転写デカールという、水でのりを溶かして貼るタイプのデカールに焦点を絞ります。
ドライデカールはガンプラではMGに付属しており、摩擦で転写するタイプとして有名です。
ガンプラで使われる水転写デカール
ガンプラで特に人気があるのはやはり本家のガンダムデカールです。
これはガンダム世界ならではの軍マークや部隊章、コーションマークが集められたものです。
定期的に再販がかかりますが、欲しい時に必ず販売されているわけではありません。ただ、例えば連邦軍のマークなどであれば様々なガンダムデカールに収録されています。その時自分が欲しいマークが入っているものを探してみましょう。
あとはハイキューパーツさんのデカールも根強い人気があります。
例として、レッドとグレーのコーションマークが収録された人気のデカールを一つご紹介します。グレーと赤は白いパーツに対して非常に目を引くため、ガンプラにもとても良く似合います。
初心者でもミスなく貼れる道具2点セット
さて、デカールを貼る作業ですがものすごく難しいというわけではありません。
しかしそこは不器用でならす筆者。慣れないうちはかなり苦戦しました。特にHG中心で作っていたためデカールも小さく、すぐ破いたりどこかへ行方不明にしたりしていたのです。
そんな時、模型の先輩からあるツールの存在を教わってから劇的に成功率が上がりました。
デカールうまく貼れない?マークセッターは使ったかい?
?なんすかそれ?
筆者を救ったマテリアル、Mr.マークセッターをご紹介します。
マークセッターを使う
不器用な筆者を救った救世主
マークセッターはデカールの軟化剤と糊が混合されたマテリアルです。
良く振って、デカールを貼りたいところに塗ります。
または、置いた後に上から塗るやり方もありです。
これを使うことによりしっかりデカールがパーツに定着してくれます。
なお、糊成分がなく軟化剤のみの「マークソフター」というマテリアルもあります。
こちらは古くなってしまったキット同梱のデカールなどに使います。
※デカールも劣化し、硬くなってしまっているため
2023年4月、マークセッターが仕様変更になりました
2023年、マークセッターがそれまでのおなじみ四角いビンから丸ビンへ変更されるとともに、仕様も一部変更になりました。詳しくはGSIクレオス様WEBページをご覧ください。
基本的には、大きく気にするような変更点はないようですが、色々細かな改善がなされた模様です。
デカール用のピンセットを使う
通常のピンセットでは破れてしまうことがある
もう一点がこれでした。
不器用な筆者はピンセットで突き刺してしまって破ることが多かったのですが、デカール用のピンセットを使い始めてから非常に楽になりました。
WAVEピンセット4本セットは筆者史上最高コスパのピンセット
実は元々デカール用に限らずピンセットを新調しようとしていたのですが、ちょうどデカール用もセットになっていたWAVEのものを使ってみた、という流れでした。
結果非常に使いやすく、また4本セットで1000円前後というコスパも魅力でそのまま乗り換えました。
4本セットのうち、へら状になっているものがデカール用です。へら状になっているおかげでデカールを傷つけたり破ったりすることなく、広い面でしっかりつまんでくれます。
外れを引いたら諦める
2点セットのご紹介の後、最後はなぜかマインドの話です。
ごくまれにですが、外れ個体デカールがあります(同一メーカー同一シリーズなのに、やたら破れたり貼れなかったりする)。
もし外れを引いてしまったら、さっぱり諦めましょう!うまく貼れないデカール相手に時間とメンタルを無駄にする必要はありません。
デカールの貼り方
知っておくとちょっと便利 水転写デカールの構造
次項からいよいよデカールを貼っていくのですが、その前に簡単にデカールの構成をしっておくと便利です。
デカールは図のように、下に水で溶ける糊で台紙に張られています。この糊が水で溶けてパーツに貼れるようになる仕組みです。
これを知ったうえで、作業に入りましょう!
デカールを貼る手順
準備しておきたいもの
デカール以外に準備する物は上記の通りです。
結構多いな、と思われるかもしれませんがほとんどはご家庭で手に入るものなので、安心です。
貼りつけ面のチェック
まず貼り付けたいパーツをチェックします。ほこりなどがあったら取っておきましょう。
ほこりが入ってしまうと、取るのが結構大変ですし、ボコボコしてしまってデカールがうまく貼れないことがあります。
デカールを濡らす
図で紹介した通り、デカールの下は乾燥した糊がついています。これを水で溶かして貼り付けます。水を付けすぎると糊がなくなるので、水に浮かべっぱなしにしないほうがうまくいきます。
それでは、ここからは連続写真でご覧ください。
貼る
貼る時はデカール用ピンセットで貼ると破れにくいのでおすすめです。また、準備物に記載しましたが、一度貼ったデカールを微調整する時につまようじがあると便利です。
つまようじはピンセットより柔らかく、デカールを傷つけにくいためです。
では再び連続作業写真をご覧ください。
なお、この時は台紙からピンセットでつまんで外しましたが、デカールが大きい時は台紙ごとパーツ付近に持って行ってスライドさせるやり方の方が安定します。
余分な水や空気を押し出す
綿棒で水を吸いながら空気を押し出します。ただ、綿棒は吸い過ぎて小さいデカールが綿棒側に貼りつくこともあります。
フィニッシュマスターの方が作業はしやすいでしょう。
※作業写真では綿棒を使いました
作業終了
以上で作業は終了です。
ごみをキッチンペーパーにくるんでまとめて捨てれば、後片付けも楽です。
ミスした時の修正方法
デカールがゆがんだまま水分を吸ってしまうこともあると思います。
そんな時は、もう一度マークセッターを塗りましょう。マークセッターを塗ると再びデカールの糊が滑って動くようになりますので、微調整が可能になります。
番外編:プラの白化をごまかします
ちゃんとしたモデラーさんはまずやらないであろう事例もせっかくなのでご紹介します。
今回の実験台になったHG寒冷地ジムは無塗装で作っています。
このため、ゲート処理の記事でご紹介したニッパー切断時の白化が残ってしまっています。
これをデカールでごまかしてしまえ!という作業例です。
作業完成後写真
写真上がスミ入れまで終わった時点、写真下が更にそこにデカールを加えた後のものです。
要所に連邦マークやコーションマークが付き、塗装していないもののなかなかそれっぽい出来栄えになってくれたのではないでしょうか。
まとめ
デカール編いかがだったでしょうか。
スミ入れまで行ったガンプラに更にデカールを貼ると、一気に自分だけのオリジナル感が強まります。それほど難しい作業ではないので、是非試してみてください。
なお、このデカール作業も含め完全無塗装でガンプラを作った例もこちらの記事にまとめてあります。よろしければご覧ください。