ガンプラのスミ入れ おすすめのやり方と塗料を紹介します
本記事のテーマはガンプラのスミ入れです。
スミ入れはガンプラ初心者でも簡単にできる塗装改造方法です。難易度の低さに反し、見た目の変化という意味で効果は絶大。
筆者も、一番最初に組み立て以外で行った作業はスミ入れでした。
自分が通ってきたからこそ声を大にして言える!
初心者の最初の塗装・改造の第一歩として一番おすすめです。
組立ができたら、少しだけ手をかけて自分だけのかっこいいガンプラにしたくなるのが人情。
やってみたいけど、塗装はまだちょっと・・・
塗装までしようとすると色々準備も必要です。でも、大丈夫!
スミ入れだけなら追加で買うものや準備も少なく済みます。
なお、この記事は「ガンプラをきれいに組み立てるゲート処理」の続編です。よろしければこちらもご覧ください。
ガンプラへのスミ入れとは?
プラモデルは小さく作ってある分、実物に比べると影がしっかりついてくれません。
人間は自然と影を認識します。
影が薄すぎたり小さかったりすると、人間はそれを実物だと感じてくれません。
スミ入れをすることで影を強調し、見ている人間に実物と錯覚させやすくなるという理屈です。
ガンプラにスミ入れするとどんなメリットがあるの?
- 一つのプラパーツを別パーツのように視認させられる
- 他の塗装より準備する物が少なく初心者が手を出しやすい!
スミ入れは元々スケールモデル(実物を小さくプラモデル化した戦車やバイク等)から流れてきたテクニックです。
実物なら別々のパーツでも、プラモデルではその構成上一つのプラスチックから作られるケースは非常に多いです。
スミ入れができるようになると、これを実物同様にバラバラの部品として視認させるテクが身につきます。おまけに他の塗装より準備も少ないのです。
初心者が最初に手を出しやすい塗装の一つと言えます。
ガンプラにスミ入れ作業した前後の実例
今回の実験台としてHG寒冷地ジムが志願してくれましたので、これを例にご紹介します。
写真はそれぞれ左がスミ入れを行っていないもの、右がスミ入れ済みの例です。
スミ入れ済みの右側パーツ群は影が強調され、立体感が増しているのがわかるのではないでしょうか。
ガンプラにスミ入れするには何を用意すればいいの?
- スミ入れ塗料
- ふき取るための溶剤
- 綿棒または綿棒のように使えるもの
詳しくは作業工程中にご説明します。
スミ入れを楽にする考え方を知ろう 毛細管現象
実際のスミ入れ作業に移る前に、モデラー達が利用している現象を解説します。それが毛細管現象です。
毛細管現象とは、液体が細い箇所を重力に関係なく流れていく現象です。静電気や張力が関係するようです。細い管の一端に液体が触れると、一気に細い管を液体が駆け上がっていきます。
スミ入れはこれを利用しています。スミ入れは塗装の一種なのですが、実は筆で塗るのではなく筆に含んだ塗料を「流す」ように行います。
次項で実際の作業写真を例に解説します。
ガンプラへのスミ入れ作業写真
スミ入れはどの順番?
今回は無塗装でガンプラを作る例を紹介します。
無塗装でガンプラを作る場合、スミ入れは【組み立ての後 デカールを貼る前】に行います。
※デカールについては別の記事で解説予定です
組み立ての後、スミ入れの前に合わせ目消しを行うケースもあります。
もし塗装する場合は、合わせ目消し→塗装→スミ入れの順となります。
おすすめのスミ入れ塗料
スミ入れのスタンダード!タミヤスミ入れ塗料
まず、スミ入れのための塗料を準備しましょう。
最も簡単なのはスミ入れ専用の塗料を買うことです。
やはり様々なガンプラの作り方に対応するおすすめ塗料はタミヤスミ入れ塗料ダークグレイです。
タミヤスミ入れ塗料は、蓋の内側に筆があらかじめセッティングされており、この1本だけでスミ入れが行えるボトル入り塗料です。
元来、スミ入れはエナメル塗料(特にタミヤエナメルやハンブロール)を薄く溶いて行われるのが一般的でした。
タミヤスミ入れ塗料はこの「都度薄める作業」と「筆の準備」を省いてくれる付加価値付きの塗料です。最初の一本に非常におすすめです。
しかし、注意点もあります。タミヤエナメルはプラスチックへのダメージがあり、パーツを組み立てた近辺に使うと割れてしまうことがあります。
これは、組み立て時パーツにテンションがかかり微細な割れが発生しているためです。
タミヤスミ入れ塗料は組み立て箇所周辺で使わないようにしましょう。
なぜガンプラへのスミ入れは黒よりダークグレイがおすすめなのか
タミヤスミ入れ塗料の中でも、最初に揃えておきたい色はダークグレイです。なぜ黒ではないのでしょうか?
それは、黒は自然界に存在しない色で、影としては色が強すぎるためです。
実際の影は黒ではなく、限りなくグレーです。絵画などでも、影は真っ黒ではなくグレーや濃い青で表現します。
色をどう選べばよいかについては、スミ入れの色を取り扱った記事で解説しています。
ガンプラにスミ入れしてみよう!
スミ入れは塗装しないパーツでも問題ありません。
ガンプラ初心者向きの今回の記事では、塗装していないガンプラにスミ入れしていきます。
スミ入れを行う場所は凹モールド
スミ入れはパーツ間の影を表現するので、溝部分(=凹モールド)に対して行います。
毛細管現象を利用してスミ入れ塗料を流す
連続写真3枚です。
写真のように、タミヤスミ入れ塗料付属の筆を一点にそっと差し込むと、塗料がどんどん流れていきます。
この例ではわかりやすいようパーツ真ん中に筆を入れましたが、筆を差したところはどうしても筆の跡が残ります。
毛細管現象で塗料が勝手に進んでくれますので、目立たない凹モールドの両端2箇所から流すのがコツです。
筆の跡をふき取りたい
スミ入れ塗料を流し込むと、どうしても筆の跡がつきます。次はこれをきれいにしましょう。
ふき取りに使うのは何?
タミヤスミ入れ塗料は、タミヤエナメル塗料をタミヤエナメル溶剤で薄くしたものです。そのため、エナメル溶剤を何かに含んでふけばきれいになります。
本来エナメル溶剤は明確な製造法が規定されているわけではありませんが、タミヤとガイアノーツは経験則的に相補関係にあるようです。タミヤスミ入れ塗料はガイアノーツのエナメル溶剤でもふき取り可能でした。
写真例ではガイアノーツのエナメル溶剤でふき取っています。ただ、推奨はあくまで同一メーカー品です。タミヤスミ入れ塗料はタミヤエナメル溶剤でふき取るのが良いでしょう。
ふき取る際は綿棒でも良いです。おすすめはガイアノーツのフィニッシュマスターというふき取り用ツールです。
フィニッシュマスターは少しコシのある素材で、先端形状が細い箇所も広い箇所もどちらも使いやすくなっています。
ふき取り作業を実施
エナメル溶剤を含んだフィニッシュマスターで筆の跡をふき取るときれいになりました。
この時、ポイントはスミ入れ塗料がしっかり乾いてから行うことです。10分くらいおけばたいていのスミ入れ箇所は乾くはずです。
乾く前にふき取ろうとすると、まだ乾いていないスミ入れ塗料が他の箇所に広く伸びて汚くなってしまいます。
ふき取り完了すればスミ入れ作業は完了です!
前後比較
スミ入れを行うと影が強調されるのが分かると思います。
ガンプラへのスミ入れがもっとかっこよくするコツ
スミ入れできる箇所を増やす!スジボリとの合わせ技
前項でスミ入れの方法はわかりました。更にステップアップする方法として、スジボリとの組み合わせが有効です。
スジボリは以前の記事でこのように定義しました。
スジボリは部品の境目を表現する手段です。その境目であるスジボリに、影であるスミ入れを施すことでより表現力が更にパワーアップします。
スジボリは必ずしも新しく彫る必要はありません。すでにキットにある凹モールドを深くしたり、角度のあるところに沿って彫ればそこに影が作れます。
凹モールドへのスミ入れは先ほどやった通りですが、キットによっては埋まっているのでそれをスジボリでもう一度深くしてあげることでより影が濃くなります。
もう一点の「角度のある所に沿って彫る」とは何でしょうか。この箇所が逆エッジと呼ばれる部分です。
逆エッジへのスミ入れで表現力を更にアップ
逆エッジとは何か
突起物で表現された箇所の区切り位置を逆エッジと呼びます。
もしこれが別の部品による突起なのであれば、ちょっと不自然ですよね。
特に古いHGキットではここがくっきりせず、少し丸みを帯びていることが多いです。
逆エッジをくっきりと境目表現することで、別の部品であることを視認させることができます。
逆エッジへのスミ入れ図解
具体的には、逆エッジ部分をスジボリし、そこにスミ入れを行うことで境界線を作ります。さっそく実際に作業してみましょう。
逆エッジへのスジボリとスミ入れ
作業実例
逆エッジへのスジボリと言っても特別なことはありません。
凸部分(恐らく別部品だろうと思われる場所)を見つけてきて、その周囲をスジボリするだけです。
逆エッジへのスジボリからスミ入れまでの連続写真
塗装しない派専用のスミ入れ塗料・ガンダムマーカー!
無塗装派向け最強 ガンダムマーカー流し込みスミ入れペン
スタンダードはタミヤスミ入れ塗料だとお伝えしましたが、これ以外のチョイスもあります。
それがガンダムマーカー流し込みスミ入れペンです。
このペンのメリットはかなりたくさんあります。
- ペンタイプなので保管が楽
- 取り出してすぐ使える
- 油性ペンの一種なので、はみ出した跡は消しゴムでも結構きれいになる
- プラへのダメージがないため、パーツが割れない
総じて、エナメル溶剤やフィニッシュマスターもいらずペンだけでOK!
ガンダムマーカー流し込みスミ入れペンのデメリット
上記の中で、モデラー視点から「プラスチックを割らない」は非常に魅力的です。タミヤスミ入れ塗料の数少ない欠点がプラスチックへのダメージだからです。
これだけメリットがあるツールがなぜそこまでモデラーに広がっていないのかというと、デメリットもあるからです。
デメリットは、「塗装したパーツに使えない」点です。
ガンダムマーカー流し込みスミ入れペンはアルコールに溶かしたインクを使っています。
アルコールはプラモデルで一般的に使われる塗料の全てを溶かします。つまり、塗装したパーツにこのガンダムマーカーを使うと塗装を溶かしてしまいます。
あくまでも、ガンダムマーカーは塗装しないパーツにのみ使えると注意しましょう。筆者のように悲しい目に遭う前に、是非このことを覚えておいてください。
なんか、察したよ
ホント色々失敗してるんだね・・・
ガンダムマーカーは最強なんだよ(全部溶かす)
ガンダムマーカーの油性タイプは他塗装を溶かしますが、塗装をしない人には本当におすすめですよ!
※ガンダムマーカーにも水性タイプがあり、水性タイプなら溶かしません
ガンプラへのスミ入れ まとめ
スミ入れ解説、いかがだったでしょうか。用意する道具も少なく、初心者の方が組み立てただけとは一味違うガンプラを作る時非常におすすめです。
ぜひお手持ちのガンプラに試してみてください。