ガンプラ/プラモにおけるドライブラシとは?
ガンプラへのウェザリング塗装のやり方を紹介する記事。今回はドライブラシを取り上げます。
前回はストレーキングという雨垂れ表現をご紹介しました。
ドライブラシとは
乾いた塗料を乗せた筆でガンプラ/プラモのエッジ部分をなでるように塗ることで、立体感や汚れを表現する
これまでの過去2回の記事では、それぞれ「日焼け退色を表現するために」「雨が降った後のシミを表現するために」と、表現目的からご紹介していました。
今回は逆パターン。
ドライブラシという技法から、何を表現するかとどのようにやるかをご紹介します。
主な目的
ドライブラシは、一般的にはウェザリング塗装の中の一つに数えられることが多いです。
しかし、実際には必ずしも汚しだけを狙う技法でもありません。
上述の通り、大きく2つの目的があります。
ハイライト=光を表現する
これはパーツより明るい同系色を用いることで、光の当たった表現をすることを指します。
特にミニチュア塗装、AFVや飛行機などのスケールモデルでは光を重視する塗装が採用されます。
光は当たったところが明るくなり、影になる部分が暗くなります。
これを塗装で表現するためには、光が当たる出っ張った(凸)に明るい色を入れる必要があります。
しかし、くっきりと塗ってしまうと境目が出すぎて不自然です。
この時、ドライブラシを使うと「わずかに色が乗っている」というぼかした表現が可能になり、自然な明暗が表現できます。
転じて、凸に明るい色をドライブラシすることにより立体感を強調することに繋がります。
汚れや塗装剥がれを表現する
煤、ちょっとした塗装剥がれ、泥汚れなど。
先ほどとは逆に、暗色をエッジにドライブラシします。
これにより汚れや剥がれたた表面を再現できます。
汚れは凹んだ部分にたまっていくため、表面のつるっとした箇所よりも隅やエッジ部分に残ります。
塗装の剥がれも、人の手が良く触れる場所や角の方から徐々に剥がれていきます。
このため、先ほど同様パーツのエッジ部分にドライブラシをかけることになります。
本記事ではこの【塗装がはがれた暗い下地を表現するため】、暗色ドライブラシを実演してみます。
ドライブラシに用意するもの
筆:シタデルドライブラシは使いやすい!
ドライブラシは一般的には平筆を使うケースが多いです。
普通の平筆でも勿論OKですが、実は初心者はドライブラシ用に作られた平筆を用いると使いやすいのです。
筆者が愛用しているのは「シタデルドライブラシ(CITADEL DRYBRUSH)」です。
弘法は筆を選びませんが、初心者は筆を選ぶと捗ります・・・・
ドライブラシはその性質上、少し毛同士の間に距離がある方が使いやすくなります。
通常の平筆は筆ムラを押さえるために、毛が密集しています。
しかし、ドライブラシ専用筆は逆に毛の間が通常筆より開いています。
よく聞く「ドライブラシは使い古しの筆がいい」というのはどうなの?
お得だなって思ったんだけど。
個人的には、初心者には使い古し筆はちょっとお勧めしません・・・
使い古しの開いた筆は斜めになっていたりして、コントロールしづらいです。
使い古したものよりは通常の平筆を、更に思い切るならいっそ
平筆を短くハサミで切っちゃってもいいんじゃないかと思います!
塗料:水性アクリル塗料
今回はちょっとした塗装剥がれを表現します。
この時使いやすいお色が、黒と茶色が絶妙に混ざった色。
筆者のお気に入りはファレホの迷彩ブラック。
黒ベースで、わずかに茶色が混ざっている色です。
なぜ水性アクリル塗料が良いの?
今回、ウェザリング塗装を行う際の大前提をおさらいです。
これらいずれかという条件です。
下地となるガンプラがこれらいずれかの条件であれば、上に塗る水性アクリル塗料は下地に悪い影響を与えません。
加えて、水性アクリル塗料は良くも悪くも塗膜が弱いため、つまようじなどでカリカリすると簡単にはがすことができます。
失敗してもすぐ直せるってことね
その中でも特にファレホはスケールモデルに最適な色やシリーズが充実しています。
早速ドライブラシで塗装剥がれを表現してみよう!
筆と塗料を準備する
ファレホは振りまくってから塗料を出しましょう
同じ水性塗料の中でも、ファレホやシタデル等のタイプは棒で混ぜるのではなく、振りまくります。
ファレホは特に棒も入らないので、必然的に振ることになります。
とにかく振りましょう!
ポイントは筆に含ませる塗料の量
筆をキッチンペーパーなどに塗り、カッサカサになったらドライブラシタイミングです。
塗料が多すぎると不自然になるので、最初のうちは特に「これ本当に塗ってるのかな?」くらいの量から少しずつ増やしていくのが初心者向きです。
エッジ部分に筆を払うように当てる
ガッツリと塗るのではなく、穂先だけを払うように当てる
ドライブラシはしっかり塗るのではなくぼかすための技法です。
そのため、穂先だけを払うようにエッジに当てるとうまくいきやすいです。
ドライブラシによる塗装剥げ表現、完了!
暗色のドライブラシで、塗装剥げを表現できました。
次回は同じように塗装剥げを表現する別の方法をご紹介する予定です。