以前、基本編として合わせ目消しを取り扱いました。今回はその続編の一つとして、無塗装での合わせ目消しを扱います。
合わせ目消し編ではアンチパターン(やってはいけない)例として「塗装せず仕上げようとして失敗する」という事例を挙げました。それくらい、無塗装での合わせ目消しは初心者には鬼門です。
ただ、一切不可能というわけではありません!
特に白いパーツに対してであればリスクが低いため、本日は実際にHGジム(寒冷地)の脚部合わせ目消しを無塗装で行っていきたいと思います。
大前提:無塗装での合わせ目消しは難しい
前述の通り、大前提として無塗装で合わせ目消しを行うのは難しいため、初心者にはおすすめしません。
筆者が「初心者が行う合わせ目消し」へのおすすめスタンスは以下のようなものです。
初心者向きに~とか言ってますが筆者自身もぺーぺーなので、これを守ってます
- 何らかの塗装を推奨
- 初心者は瞬間接着剤系での対応の方がよりおすすめ(失敗しづらい)
- 力がかかる場所は有機溶剤系接着剤の方が強いのでおすすめ
何がそんなに難しいの?
- 有機溶剤接着剤でパーツの色が落ちるケースがある
- 失敗した時瞬間接着剤系で気軽に修復できない
無塗装での合わせ目消しで難しいのがこの2点です。
以前も触れましたが、塗装は塗装環境と技術が必要なものの、失敗したところを隠してくれるメリットも非常に大きいです。工作側のアラを隠してくれます。
しかし無塗装ではそれができず、白日の下にさらされます。これがまたとても厳しいです。
特に色が落ちてしまう点については起こってしまうと塗る以外にカバーしようがありません。
HGシャアザクの太腿ド真ん中が変色した苦い思い出があります
こないだも言ってたな・・・・
注意点
以上を踏まえて、無塗装での合わせ目消しに挑む勇者達に向けた注意点は以下の通りです。
濃いパーツは色落ちする事を知っておく
前述の通り、有機溶剤に溶けてパーツの色が落ちます。防ぎきるのは難しいと思います。
傾向的に、色が濃いパーツになればなるほど発生しやすい(というより目立つ?)です。
万一変色するとまずいなら、合わせ目を消すより段落ちディテール化への切り替えは視野に入れたいところです。
有機溶剤系接着剤を使う
特に慣れていない人の合わせ目消しは瞬間接着剤をおすすめしている筆者なのですが、無塗装だと話が変わってきます。
無塗装なら有機溶剤系の接着剤をおすすめします。
透明なものでも、瞬間カラーパテでも、瞬間接着剤系は線がうっすら残ってしまうためです。
瞬間カラーパテはカラーバリエーションがあり混色できるため、パーツに合う色を作ったり使えば目立たなくはなります。
ただ色調整も難しく、初心者向きかと言われるとそうでもないところです。
総じて高リスクだという前提で挑む
以上を総合して、これから取り組もうとしているのが大事なキットなのであればやはりおすすめはしません。
でもやっぱりやりたいときはやったほうがいいと思うんです!
さんざんここまで無塗装での合わせ目消しは初心者には難しい理由を語ってきましたが、それでも挑みたくなるのが我々モデラーですよね!!まずは手始めに白いパーツから取り組んでみましょう。
実例写真
有機溶剤系接着剤で接着→カンナがけorヤスリがけ
ここまでは普通の合わせ目消しです。
今回は有機溶剤系流し込みタイプの接着剤を使いました。
失敗した箇所のリカバリ方法
先ほど出たプラカスを失敗箇所に撒く
白いパーツは色落ちもないので、失敗していない場合は終了です。
でも、失敗は0にはできません。。。。。筆者はスネ側はうまくいきましたが、ふくらはぎ下を失敗しました。
流し込みタイプでの接着は、接着剤の量が少ない時とパーツ同士の押し付けが足りない時に隙間が埋めきれないミスが起こります。
普段の塗装前提の合わせ目消しであれば瞬間カラーパテを出したいところですが、色が合わないのでやめておきます。
※白パーツなら瞬間カラーパテホワイトを使う手があるのですが、今後他の色でも同じように対応したいので
この穴埋めは、先ほど合わせ目消しのためにカンナ掛けして出たプラカスを再利用します。
穴があいてしまったところにプラカスを撒いておきます。これをパテ代わりに使う作戦です。
有機溶剤系接着剤をプラカスに垂らす
今回は白パーツなので、安心して流し込みタイプ(有機溶剤100%製)を垂らします。すると、プラスチックが溶けてきます。
つまようじでならす
少し経つとプラが溶けるので、これをつまようじでのばしながら均します。
つまようじで強くつんつんしすぎると、元のパーツも凹んでしまい復旧が難しくなるので要注意です!やさしく伸ばします。
この後硬化すればデコボコはしているものの、穴は埋まった状態になります。
再度平滑になるようヤスリがけすれば完了です。
完成写真
白パーツが良いのはもう一つあり、最後につや消しすると他色より合わせ目消し跡が目立ちにくいのです。無塗装であっても白パーツであれば低リスクでチャレンジ可能です!
濃いパーツはどうする?
濃いパーツの完全対策法はなさそう
本記事最後は「では濃いパーツはどうするの?」の点です。
こればかりは色落ちするかしないか、トライしてみるしかありません(と筆者は思ってます)。
またいろいろ試していく中で何か見つかれば続報をさせていただきます。
とは言え、軽減策はアリ
1点だけ、使用するのは必ずノーマルのセメント接着剤=つまり流し込みではないものを使いましょう。
タミヤセメント(白蓋)、Mrセメント、セメダインプラモ用(ビン)などが該当します。
流し込み速乾より乾燥に時間がかかるのは難点ですが、有機溶剤の配分が流し込みより低いためか、若干色落ちがマシになる傾向があります。
写真はセメント系の接着剤で合わせ目を消したHGザクです。色落ちが少ない方ではあるものの、完全には防げませんでした。
また、無塗装なのでニッパー後の白化が残った部分もまあまあ目立ちますね。色アリパーツの一例としてみていただければと思います。
まとめ
やはり無塗装は難しい!これにつきます。
このため、ガンプラ初心者との相性は良くありません。
しかし一方で、塗装をしなくても楽しめるという観点は本来初心者向きな側面です。
今後も折を見て色々チャレンジしてみて、話題にしたいと思います。