初心者でもスライド定規があればアーマーの裏打ちパーツ、作れます
本記事では、プラ板工作で役に立つ道具であるスライド定規の機能を紹介しつつ、実際の製品も解説していきます。
今回のゴールは「プラ板工作未経験の初心者でもアーマー裏打ちパーツを作れるようになること」です。
幾つかの記事に分け、第一弾となる本記事ではアーマー裏打ちパーツを作るための道具と材料を紹介します。
その主役がスライド定規です!
アーマーの裏打ちパーツって何?
初心者ガンプラモデラーが憧れる「見えないところもちゃんと作ってある」ガンプラ。
その代表例の一つがアーマーの裏打ちパーツではないかと思います。↓こういう部分です。
筆者もまだまだ修行中で見栄えはとても悪いのですが、参考までということでご容赦ください
このパーツはプラ板を切り出して作るので、ガンプラを作り始めたばかりの初心者にはちょっと敷居が高そうに感じます。
しかし、達人モデラーさんレベルの精度を求めないのであれば我々のような初心者でもチャレンジ可能!
それに、少し失敗してもはっきり見えるわけでもありません。
チャレンジして損はありません。早速必要な道具と材料を見ていきます。
プラ板で裏打ちパーツを作る時 必要な材料と道具
- デザインナイフ
- カッターマット
- 金属定規(スライド定規がおすすめ!)
- プラ板
- (マスキングテープ)
デザインナイフ
デザインナイフをまだお持ちでない方は、オルファのデザイナーズナイフから入門するのがおすすめです。
安価、流通性の高さ、使いやすさと全て揃っています。
初めてのデザインナイフの選び方は以下の記事をご覧ください。
カッターマット
まずは100均のものからスタートしても全く問題ありません。
プラ板を切ったり貼ったりするのが楽しくなってくると、目盛りが細かく振ってあるものや分度機能付きが便利に感じるようになります。このタイミングが買い時です。
例としてウェーブのカッティングマットを挙げます。筆者はクレオスMr.ホビーを使っていますが、いずれもプラモデル向きに目盛りが細かく振ってあるのが特徴です。
金属定規→スライドT定規がおすすめ!
プラ板を切る際はデザインナイフで定規に沿わせて切ります。
この際、プラスチック製の定規だとナイフで削れてしまいますので金属製を使いましょう。
この時のおすすめがスライド定規です。詳細は後述します。
プラ板
プラスチック製の板です。これを切り出し、接着してパーツを作っていきます。
代表例として、ウェーブのプラ板とタミヤの1mmプラ板をそれぞれ挙げます。
どちらのメーカーも複数の厚さがラインナップされています。
実際に使用する際は自分が作るパーツに合わせて厚さを選ぶことになります。
今回どの厚さを選ぶかは、作業手順解説を行う後編記事で改めて紹介とさせてください。
マスキングテープ
ざっくり採寸で型取りする際に使います。
定規やノギスで測っても良いので必須ではありません。が、ガチ初心者はぴったりサイズになるよう定規で計測するのも一苦労です。
後編記事では、マステを使ってめちゃくちゃざっくりサイズ感を合わせる方法を解説します。
金属定規はスライド定規がおすすめ!何がすごい?
ここから、本記事でのメインどころ スライド定規について解説します。
プラ板工作で使う金属定規には断然、このスライド定規と呼ばれるタイプがおすすめです。
誇張抜きで、今まで使ってなかった初心者が使うと環境激変レベルです!!!
うまい人は普通の金属定規で作れるからいらないだろうけど、初心者にはあった方がよかったなぁ
スライド定規ってなに?
これらは実際に筆者が所有しているプラモデル用の金属定規です。
左から直角定規、T定規(ノーマル)、右側2つがどちらもスライド型のT定規です。
スライド定規は、T定規とそれをスライドさせるためのパーツの組み合わせでできた工具です。
スライド定規のメリット
前提:初心者は平行を出すのが難しい
スライド定規は狙った長さの平行線を出せるのが特徴です。
この効果により、精度の高いプラ材を作り出すことができ、結果としてその後のプラ板工作がうまくいきます。
我々初心者がただの金属定規で平行な線を引いたり切り出そうとすると、実は相当難しいことに気づきます。
そして、プラ板で工作をする際、平行や直角が出ていないパーツではうまく作れません。
シンプルな立方体でも、直角と並行で出来上がっているためです。
後編記事で紹介する裏打ちパーツも多数の並行が組み合わさってできるため、ここで躓くと歪んだパーツができてしまうわけです。
スライド定規のデメリット
価格です。何もない通常の金属定規は、安いものであれば\1,000未満なので2倍~3倍はすることになります。
しかし、プラ板工作を始めたい人にとっては、初心者こそぜひ揃えておきたい工具だと思います。
スライド定規の原理と使い方
原理
スライド定規は、台座部分にT定規を平行移動できる溝がついています。
これによって台座に沿わせたプラ板とT定規部分が並行になり、かつT定規の目盛りによって狙った長さを出せる原理です。
使い方
スライド定規の使い方は非常に簡単です。
ねじを回してスライドを引き出し、スライドパーツをプラ板に沿わせるだけ。目盛りが付いていますので、平行線同士の長さを調整できます。
原理が簡単だからこそ、応用力も高くプラ板工作なら正になんにでも使える道具になっています!
具体的にはどれを買えばいいの?
選択肢は2つあります。
ウェーブ スライドT定規
主要ショッピングサイトで手に入るスライド定規ならば、ウェーブのスライドT定規1または2が代表です。Amazonや楽天、Yahooに加え当ブログおすすめのDMM通販でも購入可能です。
筆者は2が出る前に1を買ってしまっていたので2は未所持です。
しかし、2への乗り換えを検討していまして、おすすめは2(HT-486)の方です。
スライドT定規2(HT-486)が1(HT-386)より優れている点
- 角度を測る機能が追加された
- 付け替え式で長い定規も選べるようになった
角度計測機能が特に魅力的です。
改造が楽しくなってくると、特定の角度でプラ板を切り出したりマスキングテープを切り出したくなる機会が増えます。
この時、精度高く角度を測って切り出せる機能が付いた定規は非常に魅力的です。
スジボリ堂 岬式T型スライド定規
もう一つがスジボリ堂「岬式T型スライド定規」です。
こちらもウェーブスライドT定規に並ぶ、素晴らしい精度の名品です。
岬式T型スライド定規はその名の通り、プラモ用スライド定規考案者であるプロモデラー/原型師・岬光彰さんの名を冠した製品であり、岬さんご自身が監修されています。
※ウェーブスライドT定規の方も製品化の企画には岬さんが関わってらっしゃるそうです
注意点として、販路がスジボリ堂様オンリーです。
よって、他サイトで販売されている場合は転売価格となっている可能性が高いです。
必ず、直接スジボリ堂様のサイトを訪問してチェックしてみてください。
考案者・プロモデラー/原型師 岬光彰さんについて
岬さんはガンプラ改造モデラーから幻の名著と呼ばれる「ガンダムスクラッチビルドマニュアル」の著者です。
様々な治具を考案し、精度と再現性を両立した工作を行う超技巧派モデラーとしても有名です。
その岬さんが考案し、一般ユーザーも扱えるようにしたものがスライド定規です。
スライド定規はシンプルな作りであるが故に奥深く、応用力が高いです。
当ブログでは、最もベーシックなプラ板を平行にカットする程度までしか紹介していません。
しかし、考案者である岬さんのポストを読むとこの工具にはその先があることがよく分かります。ぜひウォッチしてみてください。
※岬さんご自身からリンクの許可いただきましたので、以下紹介いたします
ウェーブスライドT定規と岬式T型定規はどちらがおすすめ?
どちらも全く同じゴールを持った製品なので、甲乙つけがたいのが正直なところです。
では、異なる点はどこでしょうか?
【同じ点】・・・高い精度で平行線が出せる
【異なる点】・・・
- 対応するプラ板の厚みが違う
- 金属パーツの厚みが違う
- ウェーブスライドT定規2は角度を測る機能がある
対応するプラ板の厚み
ウェーブスライドT定規は0.8mm厚のプラ板がジャストサイズです。
一方岬式T型定規は0.5mm厚のプラ板がジャストサイズです。
これは、台座部分の厚みの違いです。
ただし当然非対応の板が切れないわけではありません。
例えば、ウェーブスライドT定規で0.5mmプラ板を切りたいなら0.3mmプラ板を敷けば切ることができます。
逆に、岬式T型定規で0.8mmプラ板を切りたいなら、定規の下に0.3mmプラ板を敷けばいいわけです。
本体部分の厚みが違う
ウェーブスライドT定規の方が定規部分も含めてパーツが分厚く、岬式T型定規の方がパーツが薄いです。
しかし、本体重量は逆にウェーブスライドT定規1の方が13g軽いです。
ここは好みですが、パーツが薄く重いことから、筆者は岬式T型スライド定規の方が取り回ししやすく感じました。
※厚みが薄いためにカット時のナイフが固定されやすく感じます
機能・価格の違い
ウェーブスライドT定規の2に関しては角度を計測する機能が追加されている違いがあります。
ウェーブスライドT定規1と岬式T型定規は機能面の差はありません。
価格面で言うと、ウェーブスライドT定規2が最も高価ですが、1と岬式T型スライド定規は本体価格が実売ベースでほぼ同額です。
ただし岬式T型定規は販路がスジボリ堂様限定でWEBオンリーなため、送料面で不利になります。
最安は事実上ウェーブスライドT型定規1と考えてよさそうです。
結局どれがいいの・・・・
非対応の板厚でも作業はできますが、結局
- 0.8mm厚をよく使うユーザーであればウェーブスライドT定規
- 0.5mm厚をよく使うユーザーであれば岬式T型定規
をチョイスするのが基本ラインとなります。
しかし、プラ板工作の経験がない初心者の感覚だと正直どちらを自分がよく使う事になるか、見当が付かないはずです。
このため、以下を筆者なりの結論としてご提案したいと思います。
- 角度計測機能が欲しい人→ウェーブスライドT定規2を選択
- 価格が安い方がうれしい人→ウェーブスライドT定規1を選択
- 薄く取り回ししやすいのがうれしい人、岬さんのファンの人→岬式T型スライド定規を選択
で、結局なんでどっちも買ったの?
0.5も0.8も便利にしたくて両方買ってしまいました
迷うより両方買った方がいいやって思っちゃって・・・・
工具は集めだすと止まりません。
さて、次回の記事からは、いよいよプラ板を切り出して裏打ちパーツを作っていきます!
次回はプラ板の切り方編です↓
第2弾・プラ板を切ろう編の次は当面のゴールだった裏打ちパーツを作ってみよう編です