マイナスモールドを初心者でもきれいに早く彫れる方法
今回は「マイナスモールド」と呼ばれている、四角状の穴を彫る方法について解説したいと思います。
↓この四角い穴です。
こないだのスジボリの記事、結構よかったよ。
でも、あれはもうできるから今度はマイナスモールドを簡単にうまく彫る方法を知りたいなぁ。
きれいにできないんだよね。
マイナスモールド、早くきれいに彫るのは確かに難しい!
でも初めての人向けのちょっとやりやすい方法はあるよ
筆者もまだ写真程度の精度でしか彫れません。もっともっとうまい人はいっぱいいます。
もっとうまく彫れるよー、という方は生暖かい目で見守ってやってください。
まだうまくできない方は筆者とその友人と共に一緒に頑張りましょう!
なお、もっとベーシックなスジ彫りの初心者向け解説記事はこちら↓
マイナスモールドの代表的な彫り方
マイナスモールドって結構難しい
「マイナスモールド」。
この記事を読んでくださっているあなた!こんな実生活で耳にしない単語に興味がある時点で、もうきっと彫り方を調べたことがあるのではないでしょうか?そして、やってみて「意外にきれいにできないな・・・」と思ったのではないでしょうか。
このディテールの悩ましいところは、量産と精度のバランスを取るのが難しい点です。
シンプルで小さいディテールなので、ある程度たくさん彫りたくなります。しかし丁寧にミスなく彫る方にばかり注力するといつまでたっても完成しません。
かといって、適当に彫ると歪んで「彫らないほうがきれい(涙)」と後悔すること請け合いです。
マイナスモールドの代表的な彫り方3選
マイナスモールドは著名なディテールですので、色々な方法が開発されています。
最初に著名な彫り方を3つ紹介したうえで、それらを実際に試した不器用モデラー筆者丸が「結局へたっぴな奴はこれがいい」と結論づけた方法をご提案したいと思います。
タガネで彫る①幅広タガネと幅狭タガネを組み合わせる方法
やってみた結果、一番お手軽でした。
(たくさんの人が行っているので、詳細はそれらの解説記事に譲ります)
ただ、筆者はかなり失敗しました。練習をしっかりした人にとっては恐らく難なくこなせるこの方法。
上手な人からするとなぜ失敗するのだ・・・・と思うかもしれません。しかし我々初心者には案外難しいのです。
メリットはよく使うスジボリツールのタガネでそのまま行えるため、準備の手間もコストも抑えられる点です。デメリットは、修練の時間が必要と感じました。
タガネで彫る②ガイドを使う方法
確実です。ガイドテープを組み合わせる方法もあれば、なんとマイナスモールド専用のガイドまで存在します。きれいにできる代わりに、他の方法より時間がかかりました。
都度ガイドを付け外しする時間と、ガイドがある分慎重に位置を定めることになるので量産体制に入ろうと思うとちょっとしんどい点もあります。
一方、確実性が高いためゆったり余裕をもって作業できるときにはお勧めですね。
彫刻刀(スピンブレード)で彫る
工具メーカーゴッドハンドさん推奨の方法です。
タガネと同じ彫り方なのですが、それを薄刃彫刻刀であるスピンブレードで実践しませんか?というやり方です。初心者の方には最初にこの方法からお勧めしたいです。(何故かは後述!)
そして、この方法はゴッドハンドさん本家の動画を視聴いただくのが一番わかりやすいでしょう。
ということで以下に紹介させていただきます。
デメリットは、スピンブレードを幅広と幅狭の2種類は最低でも用意しなければいけないこと。
つまり初期コストがかかります。
しかし、スピンブレードはただの彫刻刀ではありません。本来は美しい丸モールドを作るための工具です。
スピンブレードを使った美しい丸モールドの彫り方は以前解説しました。
今後改造を始めたい方にとって、全サイズではないにしてもある程度揃えておいて損はない工具だと思います。
おすすめはスピンブレードでの作業!しかし・・・?
ただしそこは筆者も不器用モデラー。話はこれで終わりません。
実はこの方法すら、結局期待していたレベルには到達しませんでした。
ほんとに不器用だったんだな・・・・・・
不器用さなら自信があるぞ!
そこでこのゴッドハンド方式にプラスアルファするやり方を見つけ、一応自分基準での及第点には達したわけです・・・・
それはまた追って説明するとして、先にスピンブレード式の何が推しポイントかを説明していきます!
なぜタガネより薄刃彫刻刀の方が初心者向きなのか?
不器用モデラーの筆者は、なぜタガネより薄刃彫刻刀の方がうまくマイナスモールドを彫れたのか?普段スジボリはやってますので、タガネ全然触ったないから慣れてないんですぅ~~、ってことはないはずです。
結果、二つの工具は同じ平刀型ながらも「彫り方」「形状」が大きく異なることに気づきました。
薄刃であることのメリット
まず、タガネはなぞって削り取る使い方をするため剛性に優れ、厚みがあります。このため、ぐっと差し込むような使い方をする時はその厚みによって比較的めくれ(プラのひずみ)が大きいのです。
一方、薄刃の彫刻刀は細く、めくれが少なく済みます。これによって線を彫りたい箇所以外への影響を小さく抑えることができます。
初心者はめくれが大きいだけでもコントロールが難しくなるのではないでしょうか。
抉り取る使い方によるメリット
タガネは奥から手前へ引き、削る使い方をします。
先端は削ることを念頭に作られているわけではないので、鋭利な刃にはなっていません。
彫刻刀は先端が刃になっており、ここで【切断】をします。
この切断性能のおかげで、マイナスモールドの底をさらう時に引きながら削るタガネより力が入りやすく、コントロールしやすいです。
また初心者が苦戦するモヤっとした境目も、刃を立てることで直角が出しやすいです。
薄刃彫刻刀スピンブレードを使っても最後の精度が出ない問題を解決する!
これほど優れた薄刃彫刻刀ツールを使っても、必ずしも思ったようにうまくいきませんでした。つまり、下手なんですが。
しかしそこを優れた工具でカバーして、技術が未熟な人でも楽しもう!というのもこのブログのコンセプトです。
最後の仕上げ処理、それは極小ヤスリ
筆者はスピンブレードで彫った後にまだ境目が微妙にガタガタしてしまうのをクリアできませんでした。
そのため、最後にヤスリがけをするしかないなと思っていたのですが、手持ち工具でこんな小さなところをヤスリがけできるものがありませんでした。
そこでひたすら模型用工具を探した結果、ついに見つけたのです。
それがアルゴファイルの薙刀型精密ダイヤモンドヤスリ、ダイヤフィニッシュPROです。
極小ヤスリ界の最終兵器 ダイヤフィニッシュPRO
こいつは凄かった。これが我が家に登場したことで、一気に状況が改善しました。
正直、一本のヤスリとしては高価でした。いまだにこれを買った時のドキドキは忘れません。
しかし、十分な満足度をもたらしてくれました。
ダイヤフィニッシュPROでキワをヤスる!
ダイヤフィニッシュPROは何がマイナスモールドに向いてるの?
この工具は、先端が鋭利で薄いです。このため、小さなマイナスモールドにもするする入り込みます。
また、薙刀部全てにヤスれる箇所があり、背面にもヤスリ加工が施されています。全方位型で、かつ薄さと鋭利な先端があるので、どの方向からでもマイナスモールドの側面をヤスることができます。
これらの特徴全てを備えたヤスリは今のところ他ではお目にかかったことがありません・・・・おかげで、マイナスモールドも含めた様々な微細な場所で活躍してくれます。
画像は筆者が彫った1.5mm×0.5mmのマイナスモールドです。
この周囲に対して、先端や背面、側面を全て使いながら細かくショリショリとヤスっていきます。
このお直しにより、やっと自分基準の合格ラインに立つことができました!
完成!
スピンモールドでの彫り~ダイヤフィニッシュPROでの仕上げまで済ませたパーツです。
拡大画像なので、アラが余計に目立つのですが不器用な筆者でもここまではできました。
ご覧いただいた皆さんもぜひチャレンジしてみてください!
最後に作業連続写真を掲載します。よろしければご参考になさってください。