ガンプラ改造やプラモデル製作に欠かせない接着剤。昨今のガンプラは「スナップフィットモデル」と言って、組み立てるだけなら接着剤を使いません。
昔はガンプラも接着剤必須でしたよね。チビっ子の頃はじめて作ったプラモデルは接着剤でベタベタにパーツが溶けてしまいました。
しかし、ガンプラ改造やスケールモデル製作(戦車模型等)に接着剤は今も欠かせません。ところが接着剤は種類が多くわかりづらい。筆者も作り始めの頃はびっくりな失敗をしてきました。
そこで、プラモデルを作り始めたばかりの人にわかりやすいよう、失敗談も交えながら特にガンプラ改造におすすめの接着剤を整理します!
こんな人に読んでほしい!
- ガンプラ改造をはじめたて どんな時にどの接着剤を使えばいいかわからない人
- プラモデル初心者の人
ガンプラ改造やプラモデルに使う接着剤はどんな種類があるの?
主なプラモデル用接着剤は4種類
ガンプラ改造やプラモデル製作でよく使われる接着剤は主に4種類です。
他にも色々とあるのですが、まずはこれらについて
- どんなときに使う?
- メリットとデメリット
これらをプラモユーザーの視点で解説します。
なお、接着剤は多種多様な世界で使われており、プラモユース以外のものも大量にあります。
プラモデルの世界では「強い」とされるものが他ではむしろ弱い方、ということもザラにありますがあくまでプラモに絞った話ということで進めたいと思います。
プラパーツ同士をしっかり接着したい!・・・・有機溶剤系接着剤
プラモデル製作で最初に挙げられることが多い種類です。
商品で言うとタミヤセメントシリーズ、GSIクレオスのMrセメントシリーズが該当します。
なんでセメントって言うんだろね
英語で接着剤の意味がある、らしいよ
成分に「有機溶剤」と書いてある製品を指しています。スチロール系とも呼ばれます。
この有機溶剤によってプラパーツ同士を溶かし、再度硬化するタイミングで接着される仕組みです。
有機溶剤系接着剤の特徴
溶けたプラスチック同士が再接合される仕組みのため、接着が強固です。
一度接着されると後戻りはできず、やり直したい場合は切断です。
有機溶剤系はプラスチック同士を溶かしてから接着するため、溶剤に溶けない金属は接着できません。
筆者は初心者の頃、接着剤の区別がついていなかったので有機溶剤系接着剤で金属パーツを付けようとしました。結果、プラスチックが溶けただけで終わりました。当時は意味が分かりませんでした。
デメリットは、硬化までが長いこと。また、溶剤で溶ける際にプラの色が落ちることです。
このため、接着したパーツを後で塗装するのが前提だと思います。
有機溶剤系接着剤はどんな時に使うの?
代表的な例では合わせ目消しです。プラ同士を溶かして一体化させる理屈です。
合わせ目消しについては以下の記事で取り扱っていますので、よろしければぜひどうぞ。
ただ、前述の通り色があるパーツは色が落ちやすいので無塗装の時は要注意です。
また、プラ同士の接着のために作られているものなので、プラ板同士を組み合わせるプラ板工作でもよく使われます。
瞬間接着剤よりも硬化までに時間がかかるというデメリットを生かし、慣れていない人でも時間をかけて組み合わせる場所を測れるのがメリットです。
おすすめの有機溶剤系接着剤 タミヤセメント流し込み速乾タイプ
定番のタミヤ流し込み速乾タイプです。サラサラしており、すぐに乾燥します(体感数十秒)。
最初にパーツ同士をくっつけたい位置に合わせます。続いて隙間にハケを入れて、液を流し込んで接着します。細かい隙間にハケが入り込みますので、ガンプラ改造以外では小さなスケールの製作に最適です。
ただ乾燥は数十秒ですが、硬化までは24時間以上待った方がよいです。
有機溶剤系接着剤のまとめ
- 有機溶剤系接着剤はプラ同士を溶かして接着する
- 接着は強いが時間がかかる
- 金属は接着できない
- 変色するので塗装推奨
- 合わせ目消しやプラ板工作に使う
小さなパーツをきれいに接着したい!・・・・水性エマルション系接着剤
すごく簡単に言うと水性ボンドです。小学生の頃に使っていた黄色い木工用ボンドもこの類です。
ボンドなので、ボンド自体が乾燥硬化して接着されます。プラを溶かしてくっつけるわけではないので、プラスチック×金属などプラ同士でなくても接着できます。
最初聞いた時、ちょっと「え?」って思いますよね。プラモデルで水性ボンドを使うイメージは、筆者には少なくともありませんでした。しかし、大変大きなメリットがあるのでぜひ取り上げたいです。
商品名で言うとタミヤクラフトボンド、プラモ用ではありませんがピットマルチ2が該当します。
水性エマルション系接着剤の特徴
水性の通り、水に溶けるため水で落ちます。これにより、失敗しても簡単に水で落とせます。
また、固まったときに半透明になって収縮するのも非常に大きなメリットです。
ただ、水で落ちる程度の接着力なので、デメリットとして他接着剤に比べて接着力が非常に弱いです。軽いパーツを保持するくらいしかできないでしょう。
水性エマルション系接着剤はどんな時に使うの?
半透明で収縮することで接着跡が目立ちにくいメリットを生かし、軽めのエッチング(金属)パーツや塗装済みパーツを後付けするときに使いやすいです。
こちらの記事で紹介しているモノアイ改造のように、軽い金属パーツを付けるときは最も気軽に使える接着剤でしょう。初心者が取り扱いしやすいです。
おすすめの水性エマルション系接着剤 ピットマルチ2
水性接着剤の中でも、筆者が特におすすめなのはピットマルチ2です。「貼ってはがせるノリ」系です。
一度塗っておいたところに後から軽いパーツを付けたり、乾燥後も気軽に付けたり剥がしたりできる縦横無尽さが魅力です。
小さなエッチング(金属)パーツの張り付けや戦車模型の仮組に便利です。
模型と関係ないところですとWEBカメラの簡易カバー(プラ板にピットマルチを塗ったもの)に使っています。
水性エマルション系接着剤のまとめ
- 失敗しても水で落とせる
- 硬化後半透明で目立たない
- 保持力は弱いので重いパーツは不可
- 完成後ガンプラへの小さな金属パーツ追加に使う
プラの穴埋めをしたい!・・・・瞬間接着剤
日常生活でもよく使う瞬間接着剤です。ゼリータイプ、液状タイプがあります。加えて、ゼリー状の一種でパテっぽく使えるものがプラモ用として販売されています。
瞬間接着剤は空気中の水分と反応して硬化します。容器に入っているときは液体状なのに、出すと硬化し始めるのはこのためです。瞬間というほどには瞬間で固まりません。数十秒以上は必要でしょう。
その割に指先についた時だけすぐ固まる理不尽ムーブをかましてきますが、これも人体の水分に反応しているんですね。
瞬間接着剤の特徴
水性エマルション系接着剤同様、接着剤自体が硬化します。このため、プラと金属などの異素材同士を接着できます。
水性エマルション系との違いは、硬化後の軟度です。水性エマルション系は硬化してもモチっぽい軟度ですが、瞬間接着剤は硬いです。このため、水性よりも接着に一体感が出ます。
また、水では落ちないので落としたいときは専用の溶剤が必要です。実際には、失敗したときはヤスリで削ることの方が多いです。
メリットは硬化が早いことです。特に硬化促進剤という硬化を早めるマテリアルもあり、併用することで待ち時間なく作業ができます。
また、硬化後に形が残る(ゼリータイプとパテタイプ)のも特徴です。
デメリットは衝撃には弱く、ねじったりすると思ったより簡単に割れます。強い負荷がかかる場所に使うのは不向きです。
また、「白化」という、硬化後に白く粉をふいたような状態になります。知らずに使うと非常に大きなデメリットです。
筆者がピカピカのプラモ1年生のころ、完成したガンプラに瞬間接着剤で金属パーツを付けて意気揚々と飾っていたところ、後日パーツが白くなったガンプラを発見したことがあります。
もちろん瞬間接着剤で付けてはダメなわけではないんですけどね。はみ出さないよううまくつけないと、パーツが白くなってしまいます。
瞬間接着剤はどんな時に使うの?
瞬間接着剤は各種接着剤の中で一番使いどころが多いかもしれません。
まず、硬化しても形が残ることとヤスリやすいことを利用し、【埋める】タイプの作業に使えます。
代表的な隙間を埋めるケースとして合わせ目消しが挙がります。
また、改造時に失敗してパーツにへこみや穴を作ってしまった時にも使えます。
自分でへこませたのではなく、最初からへこんでいる(ヒケ)を埋めるのにも最適です。
このほか、負荷がかかる箇所(例えば股関節や肩関節)の改造を行う際のプラ+真鍮線の接着に使用します。瞬間接着剤自体は衝撃とひねりに弱いので単体使用はできないのですが、異素材接着できることを利用してプラと真鍮線をガッチリ固定することができます。
ネオジム磁石のようなパーツ接着にも有効です。特にネオジム磁石は表から見えない場所に付けることが多いため、白化がデメリットになりません。
おすすめの瞬間接着剤 ガイアノーツ瞬間カラーパテ
筆者が愛用しているのは瞬間カラーパテ(ガイアノーツ)です。液状とゼリー状の中間程度の粘度で、色がグレーなので作業箇所の視認がしやすいです。おまけにグレーであればこの後塗装下地を塗っても全く目立たないのもメリットです。
ただし、硬化時間が「瞬間」という名前どこいった?というくらい時間がかかります。筆者は以前これを知らず放置してしまい、翌朝どろんどろんになって机の上に散らばった瞬間接着パテを目にしたことがあります。必ず硬化促進剤をセットで使用しましょう。
3種類の瞬間接着剤を使い分ける場面
前述した通り、瞬間接着剤は大きく分けてゼリー状、液状、そしてゼリー状と液状の中間的なポジションでパテタイプがあります。
使い分けはある程度人によって違います。筆者の場合は
・合わせ目消しや工作箇所の穴埋め→瞬間接着パテ
・軽いパーツの異素材接着(金属アンテナを差し込む)→液状
・負荷がかかる異素材接着(真鍮線とプラ棒で作る関節軸など)→ゼリー状
という使い分けをしています。
他接着剤とのすみわけ
「合わせ目消しに使える」「異素材同士を接着できる」これらは先ほど、それぞれ有機溶剤系と水性エマルション系でも出てきたキーワードでした。
では、瞬間接着剤とそれらはどうすみ分けられるのでしょうか。
合わせ目消し
個人的には瞬間接着剤の方がやりやすいです。初心者には瞬間接着剤での合わせ目消しをおすすめしています。
有機溶剤系、特に流し込みで合わせ目消しをすると、量のコントロールに失敗したときに合わせ目が消しきれないことが多いです。
ただし、有機溶剤の方が接着が強固です。力のかかる箇所に合わせ目消しをする際、瞬間接着剤を用いるときれいに再びパーツ分割されてしまうことがあります。
異素材同士の接着
基本的には軽いものなら水性エマルションを断然おすすめしています。
特に初心者は接着剤の付ける箇所や量をミスすることが多いです。筆者もいまだにミスばかりです。
水性なら付け直しが可能ですし、色も白くなりません。
ただ、外から見えない軸のような部分なら金属とプラを強く接着できるアドバンテージがありますので、瞬間接着剤を使います。
では、外から見えてしまう大物はどうするか?というと、これは後述のエポキシ接着剤に譲ります。
瞬間接着剤のまとめ
- 瞬間接着剤は接着剤自体が硬化する
- 短時間で硬化できるので、すぐ作業できる
- ヤスリがけ出来る
- 白くなってしまうので、塗装済みパーツ等繊細な箇所には不向き
- 穴を埋めるタイプの作業と、金属とプラを強く接着する時に使う
重い異素材を強力に接着したい!・・・・エポキシ接着剤
最後はエポキシ接着剤です。
エポキシ接着剤は2つのチューブで販売されていることが多いです。これをA剤とB剤と呼び、それらを均等に混ぜて化学反応で固めるタイプの接着剤です。
これも水性や瞬間接着剤同様、接着剤自体が硬化するタイプなので異素材同士を接着できます。
エポキシ接着剤の特徴
最大の特徴は、混ぜることによって硬化させる点です。
瞬間接着剤のように水分で硬化するわけでもないため、コントロールしやすいです。
また、最大のメリットは透明でかつプラモ用接着剤の中では接着が強固であるという点です。
大きなパーツも保持できる接着力があり、この「透明」「接着が強い」を2つとも揃えているのが一番の特徴です。
一方、混合という面倒くさい手順を踏まなければいけないのはデメリットです。
また、筆者はチューブが破れていたことに気づかず、液漏れして大惨事になってしまいました。
混合しなくても微妙に硬化する性質があるようで、キャップが開けづらくなったり、そこからチューブ破れが発生しやすいなどのデメリットがあります。
エポキシ接着剤はどんな時に使うの?
透明かつ強固なので大物を保持できるのは唯一の性能です。
このことから、水性では保持できないような後付けパーツ(大物の金属やパーツ)を接着するのに使います。瞬間接着剤でも不可能ではありませんが、前述のように白化などの問題を抱えているためエポキシ接着剤の方がよりふさわしいでしょう。
おすすめのエポキシ接着剤 WAVE瞬間エポキシ接着剤
量も必要十分で価格も手ごろなため、手を出しやすいです。
ただ、実は筆者は既にエポキシ接着剤は使わなくなってしまいました。
理由としては前述したデメリットが個人的には好きではなく、軽いものは水性で代用でき、重いものは接着剤以外の代替策をとる方を選んだためです。
具体的には、重いパーツは真鍮線で保持する方法を使っています。詳しくは真鍮線による補強を取り扱った記事もぜひご覧ください。
ただこれは完全に筆者の好みの問題なので、エポキシ接着剤自体は非常に有用です!
エポキシ接着剤のまとめ
- エポキシ接着剤はA剤B剤を混ぜて固める
- 混ぜるのは手間だが、その代わり透明で接着が強い
- 接着跡が目立ちづらいので、金属パーツを付けるのに使う
最後に
ガンプラ改造やプラモデル製作に使う接着剤を使い方と共に紹介しましたが、いかがだったでしょうか。
接着剤は種類が多くわかりづらいのですが、焦点をプラモ用のみに絞れば種類も限られてきますし、とても便利なものです。少しでもこれからプラモデル製作をしてみたい方の参考になれば幸いです。