アルゴファイルのルーター3種(アルティマAT/スターセブン/スターライト)徹底比較
ガンプラ製作を筆頭に、プラモデルで使われるモーターツールは以下の3つが代表的です。
- ルーター(リューター)
- ペンサンダー
- 超音波カッター
今回はこの中から、ルーター(リューター)と呼ばれる電動工具について解説します。
ペンサンダーは、以前別の記事でプラモユーザーにアツい支持を受ける「アルティマ」を紹介しました。
よろしければそちらもご覧ください。
ルーター(ミニルーター/リューター)とは
仕組みと使い道
ルーターはリューターやミニルーターとも呼ばれています。
ホビー用として著名な電動工具です。
ペンのような持ち手があり、その先端が回転することで主に切削する用途で使われます。
ホビー用途なら勿論プラモデル/ガンプラに使えます。当サイトでは、ガンプラの表面処理を時短するための電動工具として紹介したことがあります。
それ以外にも彫金やガラスへの加工があります。
また、業務用途であれば宝飾品加工や歯科技工などにも使われます。
細かい部分を削ったり研磨したりする目的はホビー用途と共通しています。
以前も触れましたが「リューター」という呼び名はブランド名です。一般用語ではありませんが、あまりに著名なためほぼ一般用語化しています。
このため、こういったペンタイプの持ち手に回転軸があるタイプの電動工具は各社で呼び名が異なります。
当サイトでは「ルーター」と呼称することにします。
ペンサンダーと何が違うの?
ルーターは回転して切削する電動工具です。
一方、ペンサンダーは高速でヤスリがけを代行してくれる電動工具です。
当サイトでは、初めて電動工具を導入する駆け出しガンプラモデラーさんには、まずペンサンダーからおすすめしています。
これは、使い道がヤスリがけの代行と非常にシンプルでかつ使い所が意外と多いためです。
しかし、ルーターは先端工具の選択バリエーションが豊富です。
削るだけでなく穴を開けたり切断にも使えるなど、慣れが必要なものの汎用性の高さがウリです。
ペンサンダーで電動工具の便利さに気づいたら、次のステップとして導入してほしい工具です。
ルーターを選ぶポイント
ガンプラ製作でルーターを選ぶ際には、いくつか基準があります。
この中で、筆者なりに重要なポイントを挙げていきます。
軸の精度
回転して切削する関係上、軸がブレたりするのはさすがに論外です。
プラモデルという細かいものを素早く削るための電動工具なのに軸がブレてしまうと、狙ったポイントを削れません。
それくらいなら素直に手で作業したほうが良いことになってしまいます。
概ね1万円前後~の価格帯の著名メーカー品であれば、まずプラモ作業用に求められる水準程度ならクリアしています。
しかし、5,000円を切るくらいの価格帯のルーターはこの点が心許ないです。
これはメーカーと価格で判断するのが吉ですね!
ほんとによくわからないメーカーの\3,000とかのルーターはやっぱりちょっとこわというか(早口)
また変なのつかんだのか
何回同じミスを繰り返すんだよ・・・・・
回転方向を変えられること
軸の回転方向を変えられると、パーツの端を削る時などに便利です。
回転方向を選べないと、先端ビットが暴れた時に角を丸めたり、事故が起こりやすくなります。
これってそんな大事かな??
「実はめちゃくちゃ大事だな」って、逆回転できないルーターを使ってわかりました
どうしても、パーツの端を作業する時に逆回転できないとナメちゃう時があるんだ
言葉で説明するのが少し難しいのですが、、、
ビットは基本的に、回転と逆方向に動かさないと回転に沿ってビットが流れてしまいます。
しかし、パーツの形状と利き手の組み合わせから、どんな時も逆方向に動かすことはできません。
逆回転にできることは実はとんでもないメリットでした。
無段階で回転数が調整できること
プラモ/ガンプラ用に特化する場合、回転数はあまり必要ありません。
プラスチックは回転しすぎると摩擦熱で溶けてしまいますし、回転数が高いことよりもその時最適な回転数に無段階調整できる方が価値が高いです。
長時間使用できること
ガンプラやプラモの改造で使う際、常に長時間削り続けるわけではありません。
しかし、大物パーツや合わせ目消し、深く大きく切削する時はどうしても時間が延びます。
たまにプラモ用途以外で使う際にも重要なポイントになります。
プラモ用途以外?
ちょっと野暮用で勾玉作ったりする時とかですね・・・・
(何を作ってるんだろう)
その他
後は、可能であれば以下の要件も満たしてほしい所です。
- 使える先端ビットの太さ(軸径)が2mmと3mmどちらも選べる
- 最低限のトルクがある
軸径とは、先端工具の取り付け側の太さです。プラモ用では主に2mm超のサイズと3mm超のサイズの2つが良く使われます。
どちらも使える仕様であれば先端ビットを追加する際、選択肢が増えます。
トルクとは、回転する力の強さです。一般的には回転数に応じて強くなり、一定以上の速度になると弱くなります。
プラモ用では、上述の通り高速回転は使い道があまりありません。
プラスチックはそれほど切削力が必要なく、それよりもむしろ低回転でもある程度強いトルクでじっくりしっかり削ってくれる方が良いためです。
一方、木材や金属に比べて柔らかいプラスチックがターゲットなので、業務用ほどのトルクは不要です。
ガンプラ/プラモユーザーへおすすめの3大ルーターはこれだ!
以上のポイントを満たしつつ、かつ価格を抑えたものとして真っ先に筆者がおすすめしたいルーターは以下の3商品です。
どれも安心と信頼のアルゴファイル製です。
ほんと最近よく聞くね、アルゴファイル
当サイトでも自信をもっておすすめしたい気鋭のメーカーさんです!
アルゴファイルって何がいいの?
アルゴファイルは元来が歯科技工製品や宝飾品加工など、いわゆる「プロ向き=業務用」のルーターやビットを製造している会社さんです。
業務用は個人のホビー用途と比較するとパワーも精度もともに要求されます。
その業務用から家庭用に進出してきた経緯から、品質は折り紙付きです。
加えて、近年ホビーユースにコスト意識を強く意識した製品を数多く発表しています。
アルティマを代表として近年のガンプラ/プラモシーンの重要なプレーヤーになりつつある存在です。
アルティマAT VS スターセブン系 VS スターライト 比較表
早速ですが、これらのルーターはどういった違いがあるのか比較表を作成してみました。
なお、先にお伝えしますと筆者はこの中からスターセブンを選択しています。
しかし、他2つが劣っているというわけではなく、あくまで筆者の基準に照らした結果です。
自分はアルティマATの方に魅力を感じたな~~
筆者にとってポイントになったのは価格と性能のバランスです。詳細はまた次の項で紹介させてください!
アルティマATは最後まで悩みました
スターセブンはあまり一般流通しておらず、一見すると入手性は低いのですがOEMとしても様々なメーカー/ショップから販売されています。
例えば、スジボリ堂のエントリールーター「プリモロータリー10」はスターセブンの派生品です。
スジボリ堂オリジナルとして、コントローラーのステッカーがメカモデルっぽく、かっこいいです。
付属先端ビットもダイヤモンドヤスリ5本+紙ヤスリロールが1本付属していました。
プリモロータリーの購入をご希望の方は、是非スジボリ堂様直営サイトで検索してみてください。
また、見た目から判断するにファンテック社「ゼロワン」も同じくスターセブンの派生品と思われます。
さて、ではここからはスターセブン(プリモロータリー)を更に具体的に見ていきます。
アルゴファイル スターセブン(プリモロータリー10)
欲しい機能と価格のバランス!!
スターセブン(プリモロータリー)の実売価格は概ね1万円前後です。
趣味で使うものですし、キット代と比べあまりに高額な商品は二の足を踏みます。
1万円という価格は非常に魅力です。
しかも、動力源となるコントローラーとハンドピースが別になっている、所謂セパレートタイプと呼ばれているものです。
セパレートタイプにはメリットが多い
セパレートタイプは一体型に比べ色々性能面で優位に立てます。
コントローラー側を別にできるため、動力源を切り離せることから長時間使用に耐えられるようになり、回転軸の精度も上がります。
筆者としてはぜひ欲しかった「高精度」「長時間使用」がかなえられることになります。
一般的に、高性能品は基本的にはセパレートタイプです。
スターセブン(プリモロータリー)はルーターとしては高額品ではないのですが、にもかかわらずセパレートタイプです。
逆回転できる
筆者としては必須の機能に掲げていました。
1万円で逆回転も可能なタイプは魅力です。
無段階で回転速度の調整が可能
これもガンプラ/プラモユースとしてぜひ欲しい機能でした。
無段階式で、かつMAX2万回転/分まで可能です。
比較対象の筆頭となるアルティマATも無段階調整です。
しかし、アルティマATの方は最低回転速度が1800回転/分で、MAXが12,500回転/分とスターセブンに比べると幅が狭いです。
また、アルティマATはトルクの数値が明記されていなかった点が若干気になりました。
コレットチャックがワンタッチ
地味ですがうれしいです。
ピンバイスも同様ですが、先端ビットの差し込みに手間がかかるのは意外と面倒に感じるものです。
この機能はアルティマATにはありません。
他候補2つ(スターライト、アルティマAT)に比べ劣る点
スターライトと比べた時のデメリット
スターライトと比べて劣る点は、ほぼすべてなのですが・・・(グレードがそもそも違うため)
特にフットペダルの有無は非常に大きいです。
実際に使っていると、「今両手がふさがってる!」という状態でスイッチのオンオフをしたくなるケースも発生します。
この時、フットペダルがあると一発解決です。
また、価格的には若干下位に位置するアルティマATと比較しても、3点で明確に劣ります。
アルティマATと比べた時のデメリット
- オートトルクフィードバック機能がない
- 付属先端ビットがアルティマATほど恵まれていない
- 3mmビットが選択できない
アルティマATのウリであるオートトルクフィードバック機能は、ペンサンダー上位モデルであるアルティマ7に付属している機能です。
オートトルクフィードバックは、圧力を感じたら自動でトルクを上げてくれる機能です。
これはスターセブンにはない機能です。
1万円を切るモデルにオートトルクフィードバックが搭載されている方が本来チート性能です
また、アルティマATには最初からジルコエボというジルコニア製ビットが付属します。
ジルコニアはプラモの切削に非常に向いた素材で、扱いやすいビットです。
これも単体で買うと1,000円台中盤です。最初からついてくるのはお買い得です。
筆者にとってはそれでもなおセパレートタイプ由来の各メリットが大きいと感じ、スターセブンを選択しました。
スターライトの優位性
しかし、スターセブンに1万円を追加するだけでスターライトが手に入ると考えると、なかなか悩みどころではあります。
スターライトは全ての性能がスターセブンを上回り、かつ単体で購入すると5,000円を超えるようなとんでもない量のビットが付属します。
この観点から考えると、最初からスターライトの購入に踏み切るのも勿論一つの考えだろうと思います。
どんな先端ビットがおすすめなの?
どのルーターを選んでも先端ビットは必須です。
しかし、ビットの選択肢はルーター以上に無数にあります。
これがルーターを選ぶ楽しみと汎用性の高さであり、同時に初心者キラーな点です。
筆者が実際に使ってみて使いやすかったビットを幾つか、参考までにご紹介します。
万能選手:ジルコニアセラミック製砲弾型
アルティマATに付属するジルコエボを代表製品として提示します。
これはジルコニアセラミック製のラウンド(砲弾型)です。
上述したように単品買い可能なので、アルティマATを保有していない人でも購入可能です。
切削性と削り跡の美しさのバランスが良く、かつ「切削したい」という場面であれば概ねどんな場面にでも適用できます。
ジルコエボは別ページで解説しました。よろしければご覧ください。
しっかり、深く削る:カッター系円筒型
円筒型で、かつ金属製ビットは深く切削できます。
パーツに対して平行にかけたり、角度を調整すれば面取りや面出し前の粗削りに使えます。
広く、薄くヤスリがけ:ミゼットバフ(タンポポバフ)
元々は金属表面を梨地にするためのものです。
しっかりは削れませんが、曲面に密着しながら薄くヤスってくれます。
大きめの曲面パーツ全体をゆる~~くヤスリがけするのに向いています。
筆者はスジボリ堂「ヤスリボール」を購入し使用しています。
一般流通品なら、Amazonでも購入できるアルゴファイル「Tバフ」がよいでしょう。
ピンポイントに削れる:ダイヤモンドヤスリ ポイント型
凸を削るなど、ある程度ピンポイントに削るのに使えます。
曲面などにも使えるため、比較的万能にも使える形です。
ダイヤモンドヤスリは金属にヤスリの研磨粒を電着させたものです。
品質がよければ対プラで見た時非常に長持ちし、コスパがいいです。
プリモロータリーを購入した場合は最初から付属しているのも魅力。
局所対応:SSRビット
「ざっくり切削する際時短のために使える」のが一般的なルーターですが、これは一味違います。
SSRビットは小さくカットされた厚みのあるスポンジヤスリです。
普通のヤスリでは入らないような局所に対し、その小ささと電動工具の特性を生かし一瞬でヤスリがけが完了します。
しかもスポンジヤスリなので曲面に追従します。
他に見ないユニークな発想で、唯一無二かもしれません。
まとめ
ペンサンダーに慣れてきたら、是非ルーターにも手を出してたくさん遊んでみてください!