ガンプラの後ハメ加工のコツを筆者なりにまとめます
ガンプラ改造について調べていくと、「後ハメ加工」と呼ばれる作業工程を目にします。
後ハメはきれいに塗り分けするためのテクニックの1つです。
しかし、少々作業に不安を覚える初心者モデラーさんも多いのではないでしょうか?
今日はその不安を少しでもやっつけて、作業できる準備をしましょう!
後ハメってなんで不安に感じるんだろう?
後ハメは不安・・・その背後にあるもの
筆者も改造を始めたての頃、特に後ハメは不安でした。今でも結構不安です。
後ハメのやり方はキットと場所の組み合わせによって違うので、無数のパターンが存在するように思えるのです。
パターンが多いとどう後ハメするかをある程度自力で考えなければいけない→経験が必要。自分にはちょっと足りない。
また、ほぼ切断を伴う作業なのでもし失敗したら・・・と心配。
これらはまだあまり改造を経験していない方にとっては、結構な不安要素です。
どうやって不安要素を取り除く?
しかし、無数のパターンと言いつつも、ある程度一定の型にはめることはできます。
どのくらい切ればよいか等の微妙なニュアンスはなかなかお伝えしづらく、ある程度回数をこなさなければいけません。
ですが、代表的なパターンと失敗時の復旧法を知れれば少しは不安が払しょくされるのではないでしょうか。
そこで、本日は筆者なりに色々試して勝手に類型化した後ハメと失敗からのリカバリ策をご紹介し、はじめて後ハメする初心者モデラーさんの背中を押せればと思います。
前提:後ハメって何?
文章だけだとわかりづらいので、いつものように図にします。
後ハメの目的を図解
AとBは別パーツ(例えば前腕のパーツ2つ)で、この後組み合わせます。C(例えば肘関節パーツ)は、AとBの間に挟み込まれる構造だとします。
この時、ABの間にできる分割線は不自然で、発生させたくないものだとしましょう。
そうなるとABを接着させる、合わせ目消しを行うことになります。
しかし、ABを接着すると挟み込まれているCが抜けなくなります。
Cが抜けないのは困るのは、ABとCを別の色に塗りたいときです。
この状況になったら後ハメの出番です。
上記のように、後ハメを行う時は合わせ目消しとワンセットです。
合わせ目消しをまだ習得していない人は、まず合わせ目消しからラーニングしましょう。
動機付け:後ハメを知ると何ができるようになるの?
一つのパーツをきれいに別の色に塗り分けるとき、方法は主に2つあります。
まずマスキングテープで隠しながら塗ること、そして後ハメです。
どちらも知っておけば、塗り分けを楽に、かつきれいに進められるようになるでしょう。
後ハメの作業前後を写真で比較
実際の作業写真も掲載します。これはHGゲルググの脚部です。
ゲルググの脚部はふくらはぎパーツが中央で分割されますが、この分割線は消したいとします。
向かって左側が後ハメ後、右側が後ハメの加工前です。
単純にABを接着して合わせ目消しをすると、Cの膝関節が抜けなくなるのがわかるでしょうか。
そのまま塗装すると膝関節も同じシャアピンクで塗ることになるので、具合がよくありません。また、関節部は動くためマスキングは少し大変です。
こんな時、後ハメ加工を知っていると役に立ちます。
後ハメにデメリットはないの?
本来は挟み込んで固定するはずだった箇所を切り離す加工です。
そのため、保持力が弱くなるデメリットがあります。
ぐりぐりと動かして遊びたい場合は不向きです。立って飾るくらいなら問題ないでしょう。
後ハメは絶対やらないとダメ?
そんなことないと思います(筆者の考えですが)。
後ハメをする必要がないのは以下のパターンです。
- 合わせ目を気にしない
- マスキングすればいい
- 合わせ目をディテールに変える
まず、そもそも合わせ目(分割線)を消したいところから後ハメの発想に繋がります。
そのため、作り手が「この合わせ目は気にならない」と思うならば不要ではないでしょうか。そもそも自分のために作るものですし。
また、上述の通り塗り分けを行う方法は後ハメ以外にマスキングを用いた方法もあります。
マスキングで対応しきれる場合は後ハメ不要です。
一方、合わせ目を消したい、かつマスキングでは難しい場合は後ハメに頼ることになります。マスキングが難しいのは動く箇所やパーツが込み入った箇所です。
合わせ目を消すべきか、マスキングと後ハメのどちらが自分にとって楽か、保持力の弱体化、これらを総合して判断するのが良いでしょう。
最後に、合わせ目をディテールとして扱う改造法もあります。これはまた別記事で解説します。
後ハメのパターン集を解説します
軸と軸受構造
非常によく見るパターンは軸と軸受構造になっているはめ込みです。
この時は、軸受側の一部を切り欠いて、後からパチンとはめ込む加工が行えます。
切り欠きはニッパーで可能です。ただ、エントリータイプの押しつぶすニッパーは切断面をつぶしてしまうため、薄刃タイプが望ましいです。
コツとしては、一気に大きく切り欠こうとせず少しずつ切ることです。
図とはぱっと見て違う構造でも、軸がありそれを軸受で固定あるいは回転させる作りであればこのパターンで対応できます。
軸と軸受構造の実例写真
写真はHGオリジンザクです。典型的な軸と軸受の構造です。
軸側を切り欠くことで、前腕を合わせ目消ししても後からパチンとハメこみ可能です。
HGゲルググの肩アーマーです。
ぱっと見、違う構造に見えますがこれも軸と軸受です。軸受側の一部を切り欠けば、肩アーマーを真っ二つにしている分割線を消せます。
軸受の切り欠きに失敗したら?
失敗は、切り過ぎ時に発生します。ユルユルになってしまうケースです。
この場合は、落ち着いて軸側に少しだけゼリー状瞬間接着剤を塗りましょう。軸を大きくする復旧方法です。
これはボールジョイントのサイズ加工でも行う方法なので、よろしければこちらもご覧ください。
T型のはめごろし構造
この構造もよく見ます。パーツを挟み込む箇所が丸い軸ではなく、真四角なので先ほどと同じ加工はできません。
この時は、T字のようにネジ頭状になっている一か所を切り落とし、かつ薄くすることで斜めに入り込むような加工を行います。
これは実例写真も合わせた方がわかりやすいので、見ていきましょう。
T字型構造の実例写真
写真はHG Sガンダムの頭部パーツです。ここには顔パーツと赤いインコムパーツの2箇所加工が発生しました。
ヘルメットが左右分割されており、筆者的にはここは絶対真ん中に線が来てほしくありませんでした。しかし、赤パーツも塗りたいしアイカメラももちろん塗りたいパターンです。
写真のように凸部分を切り落として後から斜めにヘルメットに差し込むことで対応しています
凸部を切りすぎてしまったら?薄く削りすぎてしまったら?
筆者の写真例も地味にちょっぴり失敗しています。顔パーツは凸を全て切ってしまったため、若干のぐらつきが起こりました。
こんな時は、完成後にパーツ裏に貼ってはがせるタイプの水性接着剤を塗っておきます。軽いパーツや負荷が小さい箇所なら十分保持してくれます。
分割線変更
最後だけ毛色が違います。
これは、構造ではなく周辺の凹モールド(溝)を利用する考え方で、パターン1/2どちらかと重なるケースも多々あります。
このケースを使える際は凹モールド部分でパーツを切断してします。
凹モールドは設定上本当は分割したかった箇所なので、むしろ好都合です。
後は合わせ目を消して終了です。写真でも見ていきましょう。
分割線変更の実例写真
写真はHG Sガンダムのスネパーツです。ど真ん中に来てほしくない線が来てしまいました。
そこで、その横にある凹モールドに沿ってパーツを切断して対応しました。
難点は、この切断が比較的難しいケースがあることです。写真の例は軽い曲線を描いていたので、筆者にとっては若干難易度が高かったです。
直線ならばプラノコでまっすぐ切断すると良いでしょう。
パーツ切断については以下の記事で取り扱っています。
曲線の場合はプラノコ(エッチングソー)での切断はかなり難易度が高いです。
別の方法があるので、そちらの記事もよろしければご覧ください。エナメル溶剤で割り折る方法です。
パーツを切り離す時変なところを切っちゃった!
このケースで発生する失敗は、切りたくない箇所を切ってしまうことです。
もしこの失敗をしてしまった場合は、瞬間接着剤による穴埋めでカバーしましょう。
切断後、大きな溝になってしまった箇所も瞬間カラーパテなどを使えば修復可能です。
※瞬間カラーパテ等については上記接着剤の記事をご確認ください
まとめ
いかがだったでしょうか。
パーツ切断を伴う後ハメ加工でも、ある程度パターン分けして「失敗しても直せばよい」と思えればチャレンジしやすくなるのではないでしょうか。
勿論ここで紹介した以外にも多数のケースがあり、このパターンで対応しきれないケースも出てきます。ただ、まずはやり始めて慣れていけばだんだん自信が出てくるはずです。
また、後ハメ加工しなければいけないわけではありません。自分のその時やりたいことを、やりたいように作って楽しめるのが模型趣味です。
もし後ハメにチャレンジしてみようかな、と思ってもらえれば大変うれしい限りです。